コード理論を完全に理解する
注釈
この記事は話したいことを 1 つの記事に詰め込んだためボリュームが多く、1 度で読みきることを想定していません。
適宜ブックマークなど使い、小分けにして読み進めてください。
はじめに
皆さんは音楽聞いてますか?私は音楽大好きです。特に J-POP、アニソン、ボカロ辺りが好きです。(互いに被る分野ですが)
そしてみなさんは音楽を聞いているときに、この曲のここいいな、なんて感じたこともあるのではないでしょうか。
- ボーカルの声がいい
- リズムが跳ねてて気持ちいい
- 歌詞に感動する
- ギターがかっこいい
- メロディが好き
- etc…
様々な魅力があると思います。
そして上述のものの他に、 コードがエモい なんてのも魅力に入ることがあります。
ですが、一般的な人(この記事のターゲットの人)はコード進行がうんぬんと言われてもピンとこないことの方が多いと思います。私もコード理論の知識がなかった頃、某配信者が名付けた イキスギコード がエモいと言われて、様々な動画を漁ってはピンとこないというのを繰り返していました。(隙あらば自語り)
しかし、友人からコード理論を教わった後は、 音楽を楽しむ解像度が数段階上がった 感覚がします。
例えばサッカーをイメージしてください。
私はサッカーの知識は最低限のルールしか理解していません。オフサイドもふんわりとしか理解できていません。ですが、サッカーって見てて楽しめますよね?得点の応酬を見るだけで興奮できると思います。
しかし、フェイントやトラップなど細かい技術の知識を得ると、「〇〇選手の足さばきすごっ!!」といった解像度の高い楽しみ方ができ、楽しむ幅が広がります。
音楽も同じです。正直こんな長ったらしいブログなんて読まずとも、Spotify でトレンドの曲を聞いて楽しむことはできます。
しかし、コード理論を学ぶことで、「この曲のここにこんな技術が入っていたのか、だからここはこんなにエモいんだ」なんて感想を抱くことができます。
私は知識を得て解像度が上がり、より音楽の魅力を見つける目が育ちました(つかうのは耳ですが)。そしてそんな楽しさをいろんな人と共有したいと思い、この記事を執筆しました。
あなたもぜひ、この記事でコード理論を会得して、解像度の高い音楽の世界を楽しんでください!
この記事の構成
この記事は三部構成を予定しています。
第一部は、コード理論を学ぶ前に コードとはそもそも何か 、コード理論に重要な メジャースケール とは何かという話から始めていきます。
音楽を理解する上では補助線を引く必要かあります。補助線が見えるようになることで、コードが何なのかを理解できるようになるのです。
第二部は、コード理論の基礎 ダイアトニックコード を学んでいきます。
基礎を理解することで、どういう基礎があってそれをどう破っているのかという、応用のテクニックの納得度が上がります。退屈かもしれませんが、第三部をより面白くするための大事なスパイスですので最後までお付き合いください。
第三部として、 ノンダイアトニックコード を使った様々な技法を紹介したいと思います。私が一番話したいところです。第二部は順番に読んで理解していくものでしたが、第三部は割と独立した構成になる予定です。
免責
- 本記事で登場する「コード理論」は主に J-POP などに適用できる大まかな理論となっており、クラシックの和声やジャズの理論などとは異なるものとなっています。
- 著者(鳩屋敷)の独学による理解をベースとしたものとなっています。あくまで一つの解釈としてご利用ください。
第一部:コードを学ぶ前に
コードとはそもそも何か
皆さんは コード とは何か知っていますか?
音楽には、それを構成する要素が 3 つの柱があります。「メロディー」「コード」「リズム」です。
メロディは、音楽を時間軸に平行に分割した要素です。
音楽は様々な音が重なって作れられていますが、その重なるうちの一つを取り出したもの、また、それの音の高さの動きがメロディです。
例えば、歌のついた音楽の、一人の人が歌う部分がメロディの一種です。カラオケの採点マシンで、歌うと黄色く光るバーがあると思います。あの上下に動きながら並ぶバーたちは、メロディを表しています。

リズムは、時間軸上に音をどう並べているか、と言う要素です。
太鼓やシンバルやドラムのような特定の音程のない楽器が、音楽のリズムのおおよそを構成しています。
しかし、バンドなどでは、ドラムだけでなくベースも「リズム隊」と呼ばれています。音程のある楽器でも、例えばギターで、「ジャカジャカ」と弾くか、「ジャーーーーン」と弾くかでリズムは変わってきます。音程の有無にかかわらず、リズムの構成要素になるのです。

そして、この記事で扱うメインテーマ「コード」ですが、こいつは音楽を時間軸に垂直に分割した要素です。メロディと対照的ですね。
音楽の瞬間瞬間でどんな音が重なっているかに注目するのがコードです。瞬間とは言っても、見る範囲は大体 1 拍~1 小節くらいが多いです。
1 つの楽器におけるコードとしては、同じ瞬間に複数の音を鳴らせばコードです。アルペジオ奏法なんてのもありますが、切り取る瞬間を長く見ればあれもコードになります。
1 つの楽器に限らず、例えばギターとベースとボーカルとキーボードで、同じ瞬間に複数の音を鳴らしてもコードと呼べます。ボーカル同士で異なる音を出す「ハモり」なんかもコードと呼べますね。

本来の定義を見れば様々な「コード」があるのですが、この記事では簡略化して、1 つの楽器(ピアノ)で同時に複数の音を鳴らすコードをメインに扱っていきます。
メジャースケール
音の種類は何種類?
突然ですが、音の種類は一般的に何種類あるでしょうか?所謂ド、レ、ミと呼ばれてるやつの種類の数です。
ただし、高いドと低いドなど、オクターブ違いのものは全て 1 種類でカウントするとします。
ヒントとしてピアノの画像を置いておきます。

いかがでしょうか。一緒に数えながら答え合わせしていきましょう。
白鍵は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」で 7 種類です。(高いドはカウントしちゃ駄目ですよ!)
黒鍵は「ド♯・レ♯・ファ♯・ソ♯・ラ♯」で 5 種類です。
つまり、7 + 5 = 12 種類です!
音楽はこれら 12 種類の音からいくつか選び、それらを組み合わせて作られています。
ここで一つ注意点があります。これら 12 種類の音ですが、これらは全て同じ間隔で並んでいる音なのです。
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」が等間隔に並び、その間を埋めるような中途半端な音ではないのです。
例えばドとド♯、ミとファなどの音の間隔は同じなのです。そしてこの 12 種類の音の隣り合う音の距離を 半音 と呼びます。


この記事では扱いませんが、ドからシまでの12音が等間隔でないケースもあります。そういった隣り合う音の高さの距離の話は「音律」について調べると色々情報が出てきます。
音の距離が等間隔な音律の平均律、等間隔でない代わりに合奏すると美しく響く音律の純正律なんてのがあります。
この記事では扱いませんが、1オクターブの中の音を12種類に分けず、24種類や36種類、48種類に分割した音楽もあります。こういった話は「微分音」について調べると色々情報が出てきます。
主役・主要キャラ・モブキャラ
先ほど、音楽はこれら 12 種類の音からいくつか選び、それらを組み合わせて作られていると説明しました。
ですが、一般的な音楽では、12 種類の音は全員同じ頻度で登場するわけではありません。基準となる音、メインとして使われる音、あまり使われない音と登場頻度に偏りがあります。
例えるなら、主役・主要キャラ・モブキャラ の 3 つに分けられるイメージです。
そして、主役を含めた主要キャラとなる音(モブキャラでない音)たちをその曲の スケール と呼びます。
ある曲において、メインに使っている音はどれか というのがスケールです。

ここで、用語の導入をしたいと思います。
スケールの中の主役となる音を ルート音 と呼びます。そしてルート音を含めた主要キャラとなる音たちのことを スケールの構成音 と呼びます。モブキャラの音たちはこれと言って呼び名はないのですが、この記事では スケールの非構成音 と呼ぶこととします。
スケールは ルート音 を一つ決めて、1 オクターブ上のルート音までの間の音から、特定の間隔で構成音を選んでいきます。
説明だけでは理解しづらいと思うので、具体例を用いて説明してみましょう。
スケールのうち、もっとも知名度のあるもので言うと メジャースケール かと思います。
メジャースケールのうち、ドをルート音としたメジャースケールのことを Cメジャースケール と呼びます。
そして C メジャースケールはちょうど、ドをスタートとして白鍵だけを含めたスケールになります。

音の名前は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の他に「C・D・E・F・G・A・B」というアルファベット表記もあります。
都度数えても良いですが、今後も頻出なので、わからなくなったらぜひ以下の表を見て確認してください。
ちなみに♯や♭はドレミ表記でもCDE表記でも同じように使います。ド♯はC♯、ミ♭はE♭です。
| ドレミ表記 | CDE表記 |
|---|---|
| ド | C |
| レ | D |
| ミ | E |
| ファ | F |
| ソ | G |
| ラ | A |
| シ | B |
C メジャースケールの音はこんな感じ。音楽の授業で聞き慣れたような音が聞こえてくるかと思います。

C メジャースケールは、ドから 1 オクターブ上のドの間の音の中から、ドを含めて 7 つの音を選びます。それが「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」です。
それぞれの音の距離は、ドから数えて、全音(半音 2 つ分)→全音→半音→全音→全音→全音→半音となっています。
この間隔で構成音を選ぶことで、メジャースケールを作ることができます。
この間隔のことは頭文字を取って「全全半全全全半」とよく略されますので覚えておきましょう。

メジャースケールの作り方を覚えたので、試しに F メジャースケールを作ってみましょう。
ファを基準にして全全半全全全半と進むと、以下の 7 つが選ばれます。
- ファ
- ソ
- ラ
- シ♭(ラ♯)
- ド
- レ
- ミ

ファを主役とした場合、今度は白鍵のシがモブキャラになり、代わりにシ♭が主要キャラになりました。
Fメジャースケールの構成音のうち、シ♭の代わりにラ♯と書いても良いのですが、表記上「ラ」がダブったり「シ」だけ抜けてたりと見栄えが悪いので「シ♭」と書くのが一般的です。
F メジャースケールも実際に聞いてみましょう。

どうでしょう?「ドレミファソラシド」といった音に聞こえたのではないでしょうか?音の高さは違っても音の間隔が同じなので、音の響きは同じように聞こえるのです。
スケールのうち、今聞いてもらったこの音と音の間隔のことを メジャースケール と呼ぶのです。
音の高さは違っても音の間隔が同じなので、音の響きは同じように聞こえるという現象と同じことが起きているのが、カラオケのキーの変更です。
キーを変えると、音の高さは違っても同じ音楽には聞こえると思います。これは曲中の全ての音を同じ距離動かしているため同じ響きに聞こえるのです。
最後におさらいです。
スケール とは、12 音のうちの主役と主要キャラの音たちのことです。スケールの主役となる音を ルート音 と呼びます。スケールの一種である メジャースケール は、主役の音から数えて「全全半全全全半」の間隔で構成音を 7 音選ぶスケールのことです。
特殊な曲を除き、J-POP やアニソン、ボカロなどの曲は、大体このメジャースケールで作られていると思っておいて大丈夫です。
そして、ある曲が 1 つのスケールで作られているなら、どの楽器の音程もほぼほぼスケールの構成音の音が鳴っています。C メジャースケールの曲であれば、ボーカルの音程もピアノの音程もギターの和音もほぼほぼ「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のいずれかの音が鳴っています。
余談として、その他に「全半全全半全全」の間隔で選ぶマイナースケールなんてのもありますが、この記事では詳細には踏み込まないでおきたいと思います。
第二部:ダイアトニックコード
第一部ではコードとは何かについて多少深堀りしました。
ただ、第二部以降では簡略化して、同時に複数の音を鳴らすコードをメインに扱っていきます。楽器はメジャースケールの紹介の際にも使っていた、ピアノを用います。
ここで宣伝なのですが、個人的にほしい機能を詰め込んだ鳩屋敷のWebピアノというサイトを作成しています。
PC 推奨ですが、スマホでも操作可能です。PC のキーボードのQWERTYUIOP...の行とZXCVBNM...の行が白鍵、その間の行が黒鍵になっており、外部機器無しで演奏できます。マウスやタッチも対応しています。MIDI キーボード接続も可能です。
この記事で紹介する内容の補助として使える想定となっているので、PC で見ている方は新しいタブから開いて、読み進めながら弾いてみたりしてください。

第二部以降は、コードの定義を以下のようにします。
コードとは、2 種類以上の異なる音程の音が同時に鳴った音である。
12 種類の音のうち 2 種類以上の音が鳴っていれば、それはコードです。
ドとソが鳴っていればコードですし、低いドと高いドならそれはコードではありません。12 種類全部鳴らした音も、綺麗な音ではありませんがコードではあります。
コードにはどの音を鳴らすか、何種類同時に鳴らすかなどによって、様々な種類があります。
ですが、この記事では、構成音が 3 種類の 三和音 と、4 種類の 四和音 に絞って扱っていきます。ただ、四和音もそこまで登場せず、ほとんどが三和音の話になっています。
※ 和音 とは、コードを和訳したもので、ほぼ同義ですし、この記事では同じものとして扱っていきます。
ダイアトニックコードとノンダイアトニックコード
コードには大きく分けて 2 種類に分類できます。それが ダイアトニックコード と ノンダイアトニックコード です。
ダイアトニックコード はコードの構成音がスケールの構成音だけのコードです。
C メジャースケールで言えば、白鍵だけを鳴らした和音です。
ノンダイアトニックコード はスケールの非構成音が 1 つ以上入っているコードです。つまりダイアトニックコード以外のコードがノンダイアトニックコードです。
C メジャースケールで言えば、1 つでも黒鍵が混じった和音はノンダイアトニックコードです。
第一部で私は以下のように説明しました。
そして、ある曲が 1 つのスケールで作られているなら、どの楽器の音程もほぼほぼスケールの構成音の音が鳴っています。
C メジャースケールの曲であれば、ボーカルの音程もピアノの音程もギターの和音もほぼほぼ「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」のいずれかの音が鳴っています。
つまりこの「ほぼほぼ」に含まれるのがダイアトニックコードで、たまに使われるのがノンダイアトニックコードです。
このノンダイアトニックコードは使い所が難しく、理屈無しで使おうとすればただの不協和音となります。
そのため、 使っていい理屈を理解するために、ダイアトニックコードを学ぶ必要がある のです。
コードの役割・特徴
ダイアトニックコードは スケールの構成音だけ で構成されたコードです。つまりスケールが決まらなければダイアトニックコードの話を進めることができません。
一番ポピュラーであろう、Cメジャースケール を使って説明していきます。C メジャースケールのダイアトニックコードは、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の中から音を選び重ねた音になります。
ひとまず三和音に絞って考えてみましょう。7 種類の音から 3 種類音を選ぶ組み合わせの数はいくつでしょう?
正解は 7 C 3 = 35 通り です。
この 35 種類のコード全てダイアトニックコードではあるのですが、一般的にダイアトニックコードと呼ばれるものは 7 つです。
この 基本のダイアトニックコード 7 つについてを紹介します。
基本のダイアトニックコードは作り方はシンプルです。
「コードの基準の音を決めて、スケールの音を一つ飛ばしに選ぶ」 というルールで構成音を選ぶと、基本のダイアトニックコードが作れます。
これも具体例を用いて見ていきましょう。
C メジャースケールの構成音は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」です。ここから三和音を作ってみます。
- まずはコードの基準の音、ルート音を決めます。ひとまずドから始めてみましょう。
- 次の構成音を選びます。ドから一つ飛ばした次の音はミです。
- 三和音なのであともう一つ構成音を選びます。ミから一つ飛ばした次の音はソです。
- 「ド・ミ・ソ」の和音が出来上がり!

ドからシまでこの方法でコードを作ることで、基本のダイアトニックコードを作ることができます。
コードにはそれぞれ名前があります。C とか Am とか G7 とか E♭m7 とかです。もしかしたら一度は目にしたことがあるかもしれません。
今回出来上がった 7 つのダイアトニックコードの名前は以下の通りになります。
| コードネーム | 構成音 |
|---|---|
| C | ド・ミ・ソ |
| Dm | レ・ファ・ラ |
| Em | ミ・ソ・シ |
| F | ファ・ラ・ド |
| G | ソ・シ・レ |
| Am | ラ・ド・ミ |
| Bm(♭5) | シ・レ・ファ |
どうでしょう?そんなもんか、と思ったでしょうか?それとも統一感がなくて気持ち悪いと感じたでしょうか?
m が何だの (♭5) が何だのという詳しい話はこの後のコードの種類の章で話しますので少々お待ちください。
基本のダイアトニックコード 7 つにはそれぞれ役割や特徴があります。
これらの役割・特徴をうまく使うことによって、聞き心地の良い曲を作ることができます。逆に聞き心地の良い曲はこれらの役割・特徴通りに作られていることが多いと思います。
ここから 7 つそれぞれの役割・特徴を紹介しますが、ここ重要ですので覚えていってください!
この章で、C や G などコードネームを呼ぶ際、アルファベット一文字だとわかりづらい箇所には C コード、G コードのように、コードネームの後にコードという文言を付け足している箇所があります。
これはただの表記ゆれであり、 C だろうと C コード だろうと意味しているものは同じものになります。
CメジャースケールのC
C メジャースケールにおいて、構成音が「ド・ミ・ソ」である C コードは、 主役級のコード です。物語で言えば主人公です。
出てこないわけがないくらい大事なコードで、基本これなしで音楽は作れません。(逆に使われていなければ相当攻めた曲ということになります。)
もし C コードが一度も出てこないなら、それはおそらく C メジャースケールの曲ではないと思います。
よくある使われ方は、始まりと締めです。物語の主人公は絶対第 1 話にも最終話にも出てくると思います。そんなイメージです。
曲を聞いている際に、「あぁこれでサビ終わりか~」と感じるのは、そこで C コードが鳴っているからです。
曲の展開としては、 基準、普通、安定 といったイメージです。
作ろうと思えばずっと C コードだけでも曲は作れますが、味気のない曲になってしまいます。
試しに C コードだけのコード進行を聞いてみましょう。(進行とは呼べないけど)
心地よい音楽とはかけ離れているかと思います。


CメジャースケールのG
C メジャースケールにおいて、構成音が「ソ・シ・レ」である G コードは、曲中の見せ場を作る、C の次に大事なコードです。
こいつも出てこない曲はほぼなく、曲に緩急をつける上で必須のコードです。起承転結で言えば転にあたるコードで、次に C が鳴ってほしいと聞き手に期待させるコードです。
よくある使われるポイントは、C コードの前です。最後の方で … → G → C と終わる曲は山のようにあります。
その他にも、B メロを G コードで終わり、サビ冒頭で C コードから始まるという手法もよく見られます。
曲の展開としては、 緊張、興奮、不安定 といったイメージで、高まった気持ちが C コードに遷移することで開放され、聞き手に心地よさを与えることができるのです。
実際に C → G → C というコード進行を聞いてみましょう。ちなみにこれは発表会とかでお辞儀するときのコード進行です。
C だけのコードに比べれば聞き心地が良かったかと思います。


CメジャースケールのF、Dm
C メジャースケールにおいて、構成音が「ファ・ラ・ド」である F コードは、曲中の展開をつくってくれるコードです。
C や G に比べると必須キャラではありませんが、基本のダイアトニックコードに含まれるようなコードのため、よく使われるコードになります。
よくある使われるポイントは G コードの前です。上の G の章で C → G → C という進行を紹介しましたが、G の手前に F を挟むことでより滑らかに G の緊張感に向かうことができます。
その他には、C コードの前に使われることもあります。C → F → C と進行することで、G に比べて緩やかな展開を作ることができます。
ただ、C や G と比べると F は割と使い所は自由なので、前後に C や G 以外が来ることも結構あります。
曲の展開としては、 浮遊感 といったイメージで、緊張の高まりきる前の 緩やかな緊張感 や、安定したところから少し動き出す 非安定感 のあるコードです。安定感も緊張感も強くないため、色んな側面を出せるオールラウンダーなのです。
実際に C → F → G → C、C → F → C というコード進行を聞いてみましょう。
前者は展開感が強く曲らしさが少し上がった印象があるかと思います。後者はのどかに展開が進む印象があるかと思います。


また、C メジャースケールにおいて、構成音が「レ・ファ・ラ」である Dm コードは、F と構成音が近いこともあり、Dm の代理のコードとして使われます。
F と比べると Dm は少し暗い印象を与えますが、むしろ違いはその程度で、ほとんど同じコードと思っておいて問題ないと思います。

CメジャースケールのAm
C メジャースケールにおいて、構成音が「ラ・ド・ミ」である Am コードは、構成音が C コードに近いこともあり、C の代理のコードとして使われます。
ここまでで紹介した C → G → C、C → F → G → C、C → F → C に登場する C のどれを Am に置き換えても自然なコード進行になります。頭の C でも終わりの C でも両方でも大丈夫です。
ただし、代理コードではあるため、コード進行の途中で使うのは自然に聞こえても、曲のド頭と最後は若干違和感が生まれます。(ダメってほどではない)
最近の曲は真面目に C から始める曲が少ないため Am スタートは違和感が少ないと思いますが、Am 終わりはやはり違和感が生まれると思います。
Am の使用例として、Am → F → G → C という進行を聞いてみましょう。これは有名なコード進行なのですが、詳細は次のディグリーの章で詳しく話します。


CメジャースケールのEm
C メジャースケールにおいて、構成音が「ミ・ソ・シ」である Em コードは、特殊なコードで使い所に癖があります。
よく使われるポイントは、Am の前です。8,9 割この用途です。たまに Em の次に F がくることがありますが、稀です。
ただし、Am は C の代理コードではありますが、Em の次に C が来ることは基本ありません。
F → G → Am というコードに対して、Em を使ってこのコードを改造するとします。Em は Am の前によく来るため、G と Am の間に Em を置いてみましょう。
F → G → Em → Am というコード進行が完成します。これも有名なコード進行なのですが、詳細は次のディグリーの章で詳しく話します。


CメジャースケールのBm(♭5)
Bm(♭5)はダイアトニックコードの中でも特に異質で、他の基本のダイアトニックコードに比べると若干不協和音のような響きがします。
そのため、第二部では扱いません。7 つ紹介すると言いましたがこの子は深くは立ち入りません。
ディグリー
前の章では、C メジャースケールにおける基本のダイアトニックコードの役割・特徴を紹介しました。
では、別のメジャースケールの曲について考える際はどうでしょう?
メジャースケールの章で登場した F メジャースケールで考えてみましょう。
F メジャースケールの構成音は以下の通りでした。
ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ
基本のダイアトニックコードのうち、試しに一つ作ってみましょう。スケールの構成音を一つ飛ばしに 3 つ選ぶと、「ファ・ラ・ド」の和音、F となります。
さて、この F メジャースケールにおける F というコードは、コードの役割・特徴の章で紹介したどれと同じ役割なのでしょうか?
F コードは浮遊感のある
結論から言うと後者、 FメジャースケールにおけるFは、CメジャースケールにおけるCと同じ です。
コードネームの C や F という名前は、 12種類の音のうちどの音が鳴っているか 以上の情報を持たず、C や F だけで役割を示すことはできません。
そのため、役割を示すには、 ◯メジャースケールにおける◯コード のような呼び方をする必要があります。
- 振り返り:移調することで、違うスケールで同じ曲を演奏できる
- CGC というコードを F メジャースケールに移調する
- FCF になるが、これは起承転結の承起承なのか?
- あるコードは、スケールによって役割が変わる
- 役割を強調したコードの呼び名がディグリー
- 先頭のアルファベットを Ⅰ から Ⅶ に置き換えるだけ
- 有名なコード進行
- 王道進行
- 小室進行
- カノン進行
コードの種類
- 三和音
- メジャー、マイナー(m♭5、aug、sus4、sus2)
- 四和音
- M7、m7、7(、dim7、m7♭5)
- 四和音のダイアトニックコードも紹介
- ⅠM7,Ⅱm7,Ⅲm7,ⅣM7,Ⅴ7,Ⅵm7,Ⅶm7♭5
- Ⅴ7 は Ⅴ よりももっと Ⅰ を引き付ける
- ⅠM7 は M7 の音が増えた分濁って、起や結っぽさは薄くなる
- あとの 5 つはトライアドの頃と大差無し(あるけどこのサイトでは覚えなくて良い)
ドミナントモーション・ツーファイブワン
- 振り返り:ディグリー表記で各三和音の役割を振り返り
- なぜ Ⅴ7 から Ⅰ は心地が良いのか
- トライトーン(memo:後々 dim の話を出すときにも紹介する)
- ディグリーが +3 増える移動
- ドミナントモーション
- ダブルパンチで爽快感 2 倍!
- ツーファイブワン
- 次に Ⅰ がほしい Ⅴ、次に Ⅴ がほしい Ⅱm や Ⅳ
- ディグリーが+3 になる Ⅱm を使う
- 並べたら Ⅱm Ⅴ Ⅰ
第三部:ノンダイアトニックコード
セカンダリードミナント
- セカンダリー王道進行
パッシングディミニッシュ
- セカンダリー王道進行と同じでは?
リレーテッドツーファイブ
- 丸サ進行
- コンファメーション進行
サブドミナントマイナー
クリシェ
- Ⅵm 下降クリシェ
- Ⅰ 上昇クリシェ
同主調借用
- ♭Ⅲ
- ♭Ⅵ
- ♭Ⅶ
裏コード
- ブラックアダーコード